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先に結論を書きます。
2026年後半、自作PCのパーツは「待てば安くなる」局面にありません。メモリ不足を起点に、マザーボード、グラフィックボードへと値上げが連鎖していて、しかもその引き金を引いているメモリ不足自体が2027年以降に一段と深刻化するという見通しが出ています。
私は2025年8月に、RTX 5080を積んだPCに買い替えました。結果的に、それは値上げの波が来る前でした。同じグラフィックボードが、いまはこの1週間だけで11.2%上がっています。
この記事は、2026年7月末から8月初旬にかけて出てきた発表・報道を時系列で並べ直したまとめです。私はPC相場の専門家ではありません。訪問看護師をやりながら、去年ようやくBTOでゲーミングPCを買った程度の一般人です。だからこの記事では、相場の予想はしません。「何が起きたか」を事実として並べて、最後に「自分ならどう動くか」だけを書きます。
まず全体像:3つの値上げが同時に来ている
いま起きていることを1枚にすると、こうなります。
| パーツ | 何が起きたか | 時期 |
|---|---|---|
| メモリ | AI需要でメーカーがデータセンター向けを優先。個人向けの供給が細る | 2025年〜(継続中) |
| グラフィックボード | NVIDIA・AMDが値上げを通知。国内代理店が卸価格を2〜4割引き上げ | 2026年7月〜8月 |
| マザーボード | 台湾大手が9月までに値上げを実施する見通し | 2026年9月まで |
順番が大事です。すべての起点はメモリで、そこから波が広がっています。ひとつずつ見ていきます。
1. 起点:メモリ不足はいつまで続くのか——2027年に「もっとひどくなる」
2026年7月30日、サムスン電子が第2四半期の決算説明会で示した見通しが、今回のまとめのいちばん重い部分です。報じられている内容を整理すると、こうなります。
- メモリ不足は2027年まで解消しない
- 供給不足は2026年より2027年の方が深刻になる
- 需要拡大に伴う不足は2028年まで続く
- 2026年後半もAIインフラ投資を背景に、サーバー向けメモリ需要は堅調に推移する
- 大手データセンター5社と、すでに複数年の供給契約を締結済み
- DRAM・NANDの供給量は、同社の中長期生産計画における生産能力の60〜70%を占める見込み
最後の1行が、個人にとってはいちばん効きます。作れる量の大半が契約済みの大口に先に割り振られているということだからです。残りを世界中の一般ユーザーが取り合う構図になります。
この流れは1社の話ではありません。マイクロンは2025年12月に消費者向けメモリ事業からの撤退を発表し、AIデータセンター向けに事業を集中させると表明しています。各メーカーがAI分野を優先する流れは、当面続く見込みです。
個人が買えないのは、買い方の問題ではない
この「個人が後回しになる」構図が分かりやすく出たのが、Steam Machineを発売したValveの件です。同社は2026年6月にメモリの入手が困難であることを表明していて、報じられているところによると、Valveですらメモリを長期契約で押さえられておらず、サプライヤーが提示してくる価格を見てその都度買うかどうか判断している状況だといいます。
さらにValveのエンジニアの説明として、小売店に状況が反映されるのは、大口供給の現場より3〜6か月遅れるという話も出ています。これは個人にとって、あまり嬉しくない意味を持ちます。
いま店頭で見えている値段は、数か月前の仕入れの結果でしかないということです。上流ではもう次の値上げが始まっていて、店頭価格はこれから追いかけてくる。ゲーム機のプラットフォーマー各社がハードの値上げを発表しているのも、同じ波の上にあります。
2. 波及その1:マザーボードが9月までに上がる
次に来たのがマザーボードです。ASUS、GIGABYTE、MSIといった台湾の大手が、2026年9月までに新たな値上げを実施する見通しと報じられています。
理由は、部材が軒並み上がっていることです。中国・博板堂の調べとして、消費者向けマザーボードの基板価格が2026年中に前年比50%以上上昇するという見込みが出ています。さらに銅、積層セラミックコンデンサー、パワー半導体、周辺制御チップまで同時に値上がりしている。背景にあるのは、やはりAIサーバー向けの高多層基板に需要が集中していることです。
ここに、もうひとつ厄介な要素が重なります。自作PC需要そのものが、メモリ高騰の影響ですでに冷え込んでいることです。
- ASRockを含む台湾大手4社が、2026年の出荷目標を相次いで引き下げ
- なかには前年比3割超の減少を見込む企業もある
- 出荷台数の減少とコスト上昇が同時進行し、各社は値上げで採算を改善するしかない状況
売れる数が減っているのにコストが上がっているので、1枚あたりの単価を上げる以外に選択肢がないという話です。値上げには部材コストの吸収と収益性の回復に加えて、販売店側の採算を立て直す狙いもあると報じられています。値上げ幅は現時点では不明ですが、二桁台になる可能性が高いとされています。
もうひとつ、地味に痛いのが選択肢の縮小です。MSIはグラフィックスカードのエントリー向けラインアップを30%削減する方針とされていて、マザーボードでも低価格帯モデルが絞られる可能性があります。「安いモデルが値上がりする」のではなく「安いモデルが消える」という形の値上げです。
3. 波及その2:グラフィックボードは、もう実売価格が動いた
そして、いちばん動きが速かったのがグラフィックボードです。ここは予告ではなくすでに実売価格が動いています。
GIGABYTE製グラフィックスカードの国内代理店であるCFD販売が、2026年8月1日の受注分から国内卸価格を従来の約1.2〜1.4倍(2〜4割)に引き上げると告知しました。理由については「メーカー価格改定に伴い」とのみ説明されています。
実務的にきついのは、その先です。未出荷の注文残についても、従来価格での確保が難しい場合は順次キャンセル相談の対象になるとされています。つまり、注文済みでも旧価格が保証されない可能性があるということです。
上流側もすでに動いています。
- AMD:2026年7月、AIB各社(グラボを作るメーカー)へ約10%の値上げを通知
- NVIDIA:2026年第3四半期から、VRAM 2GBあたり約19ドルの上乗せを適用する方針
NVIDIAの方式は、VRAMを多く積んだモデルほど上げ幅が大きくなるということです。「たくさん載っている方が良い」と思って選ぶ上位モデルほど、値上げの影響を強く受けます。
実際にいくら上がったのか(2026年8月4日時点)
数字で見ると、この1週間の動きははっきりしています。
| 製品 | 国内最安値(2026年8月4日時点) | 直近7日間の変動 |
|---|---|---|
| GeForce RTX 5080 | 238,800円 | +11.2% |
| Radeon RX 9070 | 94,600円 | +11.3% |
メーカーもチップの系統も違うのに、上昇率がほぼ同じというのが今回の特徴です。特定の製品が品薄になったのではなく、市場全体が同じ方向に押されているということだと思います。
そして、待ちの構えを取っている人にとって厳しい事実がもうひとつあります。足元では円高が進んでいるのに、店頭価格の値下がりには結びついていません。普通なら円高は輸入品の追い風になるはずですが、それを打ち消すだけの値上げが来ている。為替の好転を待つ買い控えは、いまのところ報われていないということです。
店頭への反映時期は各店の在庫状況次第なので、しばらくは同じ型番でも店ごとに価格差が出やすくなります。改定前に仕入れられた在庫が、現行価格で買える最後の機会になる可能性があります。
加えて、マザーボードの値上げも9月までに計画されていて、GIGABYTEはその対象でもあります。グラボとマザーボードを同時にそろえる自作PCでは、負担増が二重に重なることになります。
4. 私の場合:1年前に買い終えていた
ここで少しだけ自分の話をします。
私は2025年8月に、ドスパラ浦添店でRTX 5080搭載のBTOパソコンを購入時点で総額489,860円(価格は変動します)で買いました。中身は Ryzen 7 9800X3D と Palit RTX 5080 GameRock、DDR5-6000 64GB、Samsung 9100 PRO という構成です。
相場を読んで買ったわけではまったくありません。前のPC(i9-10900K + RTX 3090)がゲーム中30〜60分で熱暴走して落ちる状態になっていて、それを5年ほど我慢した末にどうにもならなくなって買い替えただけです。経緯はRTX 3090が熱くて落ちる人へ【RTX 3090→5080乗り換えレビュー】に全部書いています。
そのRTX 5080が、いま最安値で238,800円。この1週間で11.2%上がっています。買った当時の値段と単純比較はできませんが、あのとき「もう少し様子を見よう」と言っていたら、確実に今より高い買い物になっていたことは間違いありません。
これは私が賢かったという話ではなく、壊れて追い込まれた結果、たまたま値上げの前に買っていたというだけの話です。ただ、こういうことは自分の本業でも見たことがあります。医療や介護の現場でも、物資の供給が細るときは同じような形で起きます。まだ普通に買えているうちは誰も動かず、店頭から消えてから慌てる。供給が絞られる局面では、判断が早い人ほど普通の値段で普通のものを手に入れられる——というのは、たぶんパーツでも同じです。
5. これからどう動くか
ここまでの事実を踏まえて、私なら、という話を立場別に書きます。相場が今後どうなるかの予想ではありません。いま出ている材料から言えることだけです。
これから新しく1台組む人:マザーボードだけでも先に押さえる
今回いちばんはっきりした行動につながるのが、ここです。AMDのソケットAM5は、2027年発売予定のZen 6世代、2029年発売予定のZen 7まで対応予定とされています。
つまりAM5のマザーボードは、いま買っても数年先のCPUまで使える見込みがあるということです。そしてマザーボードの値上げは9月までに来る。しかも低価格帯のモデルは数が絞られる可能性がある。全部そろうのを待つより、先に買っても腐りにくいパーツから押さえるのが理にかなっています。
9月の値上げ前に押さえるなら
- 数年先のCPUまで使える土台 → AM5マザーボード(Zen 6・Zen 7まで対応予定・9月までに値上げ)
- 私が使っているもの → GeForce RTX 5080(この1週間で11.2%上昇)
※価格・在庫は変動します。リンク先で最新の価格をご確認ください。
買い替えを検討中の人:「壊れてから」だと選択肢が減る
私がまさにこれで、前のPCが落ちるようになってから動きました。結果的に間に合いましたが、追い込まれてから探すと、値段も在庫も選べません。いま不調の兆候が出ているなら、限界が来る前に候補を決めておくだけでも違います。
いま急いでいない人:無理に買う必要はない
ここは正直に書きます。いま特に困っていない人が、値上げを理由に慌てて買う必要はありません。この記事の主旨は「今すぐ買え」ではなく、「待てば安くなる」という前提が今は成立していないという話です。
ただし、待つなら理由を持って待った方がいい。私はセールで買うべきガジェットのまとめでも書いていますが、値引きが本気で入るのは年に数回です。値下がりを待つのではなく、セールのタイミングまで待つ——という考え方の方が、いまの相場には合っていると思います。
まとめ
- 起点はメモリ。AI需要でメーカーが大口を優先し、個人向けの供給が細っている
- しかもこれは一時的ではない。サムスンの見通しでは2027年に一段と深刻化し、2028年まで続く
- マザーボードは9月までに値上げ。基板は前年比50%以上の上昇見込み、幅は二桁台の可能性
- グラボはもう上がった。CFD販売が8月1日受注分から卸価格を2〜4割引き上げ。実売もこの1週間で約11%上昇
- 円高でも下がっていない。為替の好転を待つ買い控えは、いまのところ報われていない
- AM5マザーボードはZen 6・Zen 7まで対応予定。先に買っても腐りにくい
私は2025年8月に、相場を読んだわけでもなく、ただPCが落ちるから買い替えました。それが結果的に値上げの前でした。次に同じことが起きたとき、今度は落ちる前に動けるだろうか——というのが、今回いろいろ調べていて自分に残った宿題です。
なお、この記事の内容は2026年8月上旬時点の発表・報道をまとめたものです。今後の展開で状況が変わった場合は、追記していく予定です。
Xでも関連情報を発信中です。メモリ不足・マザーボード値上げ・グラボ値上げについては、それぞれ速報として投稿しています。看護師の副業、ガジェット、ゲーム、沖縄暮らしのことを書いているので、よかったら覗いてみてください → @yonezo365
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